憲法について
平成18年度の行政書士試験の憲法は、「条文と判例」がわかりやすく出題されました。
特に、問題4と7については条文を正確に押さえておければ行政書士試験受験生なら誰もが解答できた問題だったといえます。ただ、問題5は、正直なところ、不適切な問題であると考えます。
いずれの肢も「純然たる意見表明ではない各種の行為」に関する判例から引用した文章であり、「判例が採っている考え方として誤っているもの」を選びようがないように思われます。つまり、本問は、決して易しい問題ではなく、各選択肢の記述とほぼ一致する記述が判決文に書かれていたために「誤っているもの」はそもそも存在しないのではないかという可能性が考えられました。
ただ、肢5については、14条違反の有無が主要な争点であり、判決文全体の趣旨から考えて、妥当性を欠く記述ではないかと考えた結果、大手行政書士受験予備校では肢5を正解としていたところが多かったのです。
これに対し、行政書士試験研究センター公表の正解によると肢3が正解とされていますが、疑義が残ります。あえて、肢3が正解であることに決着をつけるとするのなら、下記の通りになる者と思われます。
【問題5の解説】(※行政書士試験研究センターの正解を導くための解説)
肢3は、レペタ事件(最判H1.3.8)の判旨を参考にした選択肢でした。
肢3では、裁判傍聴時の筆記行為の自由は憲法21条の規定の精神に照らして「十分尊重に値する」としていますが、実際の判例では「…尊重すべきである」としています。つまり「十分」の言葉がありません。ということで誤りである、ということなのです。
細かすぎる気がしますが、同じレペタ事件の中で、取材の自由は憲法21条の精神に照らし「十分尊重に値する」とした上で、それを根拠に、傍聴人がメモを取ることを一般的に禁止しているのに対し、記者クラブの記者にメモを許しても、平等原則に反しないとしました。
このようにメモの取扱いについて、傍聴人と記者クラブの記者との間で差異をつけたのは、報道機関のメモは「…十分尊重に値する」もの、つまり報道には公共性があるためであり、その区別には合理性があるとされています。傍聴人のメモは「…尊重すべき」であるのに対し、報道機関は「…十分尊重に値する」という差異をつけたのだと見ることができる、というのです。
したがって、肢3が正解となる、ということになるのです。ただし、この問題が合否を左右するとは言いがたいので、こういった問題が解けたかどうかは実際の行政書士試験においては重要ではないということを忘れないでいただきたいと思います。
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